シニア婚活の「落とし穴」と相続対策|再婚前に知っておくべき事実婚・遺言信託の基礎知識
「これからの人生を、信頼できるパートナーと共に歩みたい」
そう願って婚活を始めるシニア世代が増えています。しかし、若い世代の結婚とは異なり、50代・60代からの再婚には、本人同士の気持ちだけでは解決できない「現実的な壁」が立ちはだかることがあります。
特に多いのが、相続をめぐる子供との対立や、法的なリスクです。せっかく素敵な出会いがあっても、お金や住まいの問題でつまずいてしまっては元も子もありません。
この記事では、シニア婚活で直面しやすい「落とし穴」を具体的に挙げながら、後悔しないための相続対策、事実婚という選択肢、そして近年注目されている「遺言信託」の基礎知識まで、専門的な視点で分かりやすく解説します。
1. シニア婚活に潜む「3つの落とし穴」
シニア世代の婚活は、純粋な恋愛感情だけでなく、生活基盤や家族関係が複雑に絡み合います。よくあるトラブルを確認しておきましょう。
① 子供の猛反対と「争続(そうぞく)」
最も多いのが、子供からの反対です。子供側からすると、親にパートナーができることは喜ばしい反面、「親の遺産が減るのではないか」「見知らぬ人に実家を乗っ取られるのではないか」という不安が拭えません。これが原因で親子関係に亀裂が入るケースは少なくありません。
② 介護問題の押し付け合い
「老後の面倒を見てほしい」という下心が透けて見えると、相手から敬遠されます。また、再婚後すぐに相手や相手の親の介護が始まり、「こんなはずじゃなかった」と後悔するパターンも。事前の役割分担の話し合いが欠かせません。
③ 法律婚による権利と義務の変化
法律上の婚姻届を出すと、配偶者には強い「法的権利」が発生します。例えば、一方が亡くなった際、配偶者は常に法定相続人となり、最低でも遺産の2分の1(子供がいる場合)を受け取る権利を持ちます。これが既存の家族にとっての不安要素となるのです。
2. 「事実婚(事実上の夫婦)」という賢い選択肢
最近のシニア世代では、あえて婚姻届を出さない「事実婚」を選ぶカップルが急増しています。
事実婚のメリット
相続関係が変わらない: 法律上の夫婦ではないため、お互いに相続権が発生しません。これにより、自分の子供に確実に財産を残すことができ、家族の理解を得やすくなります。
名字を変えなくて良い: 銀行口座や名義変更の手間がなく、これまでの生活スタイルを維持できます。
親戚付き合いの負担軽減: 義実家との法的な結びつきが弱いため、精神的に自立した関係を築けます。
事実婚の注意点
一方で、税制上の配偶者控除が受けられない、手術の同意書や入院手続きで「家族」と認められない場合があるといったデメリットもあります。これらは「公正証書」を作成しておくことで、ある程度カバーすることが可能です。
3. 相続トラブルを防ぐ「遺言信託」と「家族信託」
幸せな再婚・パートナーシップを維持するためには、**「お金のルールを明確にすること」**が最大の誠実さです。
遺言信託(いごんしんたく)とは?
銀行などの金融機関が、遺言書の作成アドバイスから保管、そして相続発生時の手続き(執行)までを一貫して引き受けてくれるサービスです。
メリット: 専門家が介在するため、遺言書の不備で無効になるリスクがありません。また、公平な第三者が執行するため、親族間のトラブルを抑制できます。
活用例: 「後妻(後夫)には自宅の居住権を認め、所有権は自分の子供に残す」といった複雑な指定もスムーズに行えます。
家族信託の活用
より柔軟な財産管理を求めるなら「家族信託」も有効です。元気なうちに財産の管理権を信頼できる子供などに移しつつ、自分たちがその財産から生活費を受け取る仕組みを作っておけば、認知症対策としても機能します。
4. 失敗しないための「婚活前チェックリスト」
具体的なアクションを起こす前に、以下の項目を整理しておきましょう。
居住用不動産をどうするか: どちらかの家で暮らすのか、新しく借りる(買う)のか。
生活費の分担: 共用財布を作るのか、各自の年金でやりくりするのか。
万が一の意思表示: 重病になった時の延命治療や、葬儀の希望を共有しているか。
子供への事前相談: 決まってから報告するのではなく、検討段階で「寂しさを解消したい」という動機を伝えているか。
5. まとめ:心のゆとりは「事前の備え」から
シニア婚活において、相続や法律の知識を持つことは「相手を疑うこと」ではなく、**「二人の関係を邪魔させないための防衛策」**です。
法的な備えがしっかりしていれば、子供たちも安心して応援してくれますし、何よりあなた自身が余計な不安を感じることなく、パートナーとの時間に集中できるようになります。
自分たちだけで解決しようとせず、時には結婚相談所のカウンセラーや、相続に強い弁護士・税理士といったプロの知恵を借りることも検討してみてください。これからの人生を最高に楽しむために、まずは一歩、知識の習得から始めてみましょう。
50代・60代からの新しい人生。シニア婚活で理想のパートナーと出会うための完全ガイド